オンライン英会話は問題なくなってきたけど、ビジネスの場面ではうまくしゃべれない...
ビジネスの勉強もしなきゃいけないけど、英語の勉強もしないと...あぁ時間が足りない...
ビジネス英語を伸ばす選択肢としてMBAを推薦する根拠
1. 失敗し自分の不足に気づくことができる
2. 同僚や取引先の能力レベルに近い、多様な国籍の方と話す機会がある
3. 実践でしか得られないメンタルと自分の会話パターンを作れる
・オンラインによってフラットになった世界
・日本のマーケット縮小により、世界に主戦場を広げた国内企業
・そして世界中の同僚と繋がるこの世の中、
英語でビジネスを行う難しさや、その必要性を感じる方は多いのではないでしょうか?
英語を学ぶ一番のコツはなるべく早いうちに、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」に切り替えることだ。
と大前研一が言っていました。
留学経験なし、2019年から英語学習をはじめ、TOEIC L&R 220点(Part1 から1問もわからない)だった私も、2023年1月に英語でMBAを学ぶ決心をし、現在GLOBIS 経営大学院にて英語でMBAを学んでいます。
今回はビジネス英語力を伸ばす選択肢、という切り口でMBAについて記載していきます。
英語MBAはビジネス英語を伸ばす上で最も優れた手段である。
「英語でビジネスをしている」からMBAを英語で受講する のではなく
「英語でビジネスをしたい」からMBAを英語で受講する
という考え方の提案です。
以下で「なぜMBAがビジネス英語を伸ばすのに最も優れた手段の一つなのか」を説明していきます。
1. 語学は話した領域しか伸びない
日常英会話とビジネスでは使うフレーズが異なる
私はカウチサーフィンというアプリで月に一回ほど、見知らぬ旅行客の方に家を宿泊場所として提供しています。
世界中の方と自宅に居ながら交流できますし、なによりも日本の事をよりよく知ってもらえます。
しかし、家にいる際にふとした日常のフレーズが出てこずよく困ります。
お風呂にお湯を入れている間にさ... (あれ? pour? fill...?)
同様にビジネスでも
・四象限の右下側に位置する...
・このグラフは下降傾向を示しており...
などビジネス固有のフレーズがたくさんありますね。
ネイティブの子どもであれば、そのぐらい簡単な言葉で説明できますよ
もし基本動詞(put, have, takeなど)の使い方を感覚として落とし込めていれば説明可能でしょう。
ただし第二言語として英語を話す私たちにとっては、句動詞の取得は非常に大きなハードルです。*1
ターゲットとなる領域や話題を話した経験が、表現の範囲を広げていく上で重要になってきます。
人は経験を通して学んでいく
これは組織行動学者のDavid A. Kolbによって提唱された経験学習モデルという理論によって説明されています。
*参照 経験学習のサイクルとは?活用するメリットや注意点を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス
経験学習モデルとは
- 1. 具体的経験
- 2. 内省的観察
- 3. 抽象的概念化
- 4. 能動的実験
を通して人は学びを深めていくことを説明しています。
各プロセスを英語のフレーズを定着させることに落として考えてみましょう。
1. 具体的経験:実際に自分で経験する
(よーし、プレゼンはじめよう) Then, let's get started (あれ start だっけ startedだっけ?)
2. 内省的観察:自身の経験を別の視点から振り返る
英語のフレーズ集で読んだけど実際のところはよく覚えてなかったな。。読んだだけでわかったと思っていることが多いかもしれない。。
3. 抽象的概念化:内省の結果を抽象化し概念化する
このケースは例外だけど、「Get + 過去分詞」は受動態として働くのか。あれ、受動体ってちゃんと理解できただろうか?
4. 能動的実験:抽象概念を自身の教訓としてセオリー化する
今後わからないフレーズにあったら、文法的に分解して理解してみることにしてみよう。
そしてまた具体的な経験に戻り、できない自分に気が付いて、学びを深めていきます。
つまり
「アウトプットによって自分の不足している能力に気づき」→「インプットを加速させる」と言い換えることもできます。
2. では英会話でレッスンをすることでも十分では?
アウトプットをして自分の不足している能力に気づく、という点においてはオンライン英会話は非常に優秀なツールです。
ただし、ビジネス英語力を鍛える、という点においては課題も多々あります。
オンライン英会話は講師の質と多様性の両立に課題がある
ビジネス英会話力を伸ばす上でオンライン英会話のサービスを選ぶ際に注視すべきポイントは、
講師の質:
・その分野・業界に詳しくないとしても、クリティカルな質問ができるか?
・社会情勢/経済/環境問題など、ビジネスの基礎となる知識を持っているか
・答えがない問いに対して、自分の答えを論理的に述べることができるか
・こちらの答えに対して論理的な不足や矛盾点を指摘できるか
多様性:
・さまざまな国の英語を話す講師と会話をすることができるか?
だと考えています。
そしてこの講師の質と多様性のバランスを両立できるサービスを見つけることが非常に難しいです。
講師の質に関してコスパ重視系の英会話の課題点:
あえて誤解を恐れずに言うと、コスパ重視のオンライン英会話サービスのフィリピン人の講師の方は「英語を話せない日本人」に英語を教えることになれすぎて、上記の質を満たす方がほとんどいません。
・オンライン講師としてのキャリアが極端に長くビジネスの周辺知識がない
・レッスンを進める上での表面的な会話が多く、クリティカルな質問をしない
(How long have been learning English here? etc. )
・論理がうまくつながっていなくてもスルーしてしまう
(こちらが答えたのち、Okay. Then the next question is...)
(もちろんフィリピン人講師の方でもある程度おられますが)
非フィリピン系講師の方が「なぜ自分はそう思うのか」をよく説明してくれ、こちらにも回答の根拠となる論理を求めてくる傾向があります。
ビジネス向けのフィリピン系オンライン英会話(例えばBizmates )では、いい質問をしてくれる講師が多かった印象です。
次に重要となってくる、講師の多様性:
スピーキングプロセスと効果的な学習方法を知る|第二言語習得理論 | うさかめLIFE
ネイティブスピーカーは英語話者の2割ほどと言われています。(所説あり)
つまり、5人に一人は非ネイティブスピーカーであり、独自のイントネーションを持っていることを意味します。
もしUS/UK/Australiaなどでネイティブを相手にビジネスをしたい、という明確なターゲットをお持ちでしたら別ですが、ビジネス英語を伸ばす上ではなるべく多様な英語に触れることのできる環境をおすすめします。
私もIT系のプロジェクトはインドのスタッフとやり取りしながら進めています。むずかしい。。
多様性の点で言うと、ネイティブキャンプ:月額6,480円でレッスンが24時間受け放題! が圧倒的です。
フィリピン人の講師が5600名超に対して、ネイティブスピーカーを除くその他の国の講師が4800名ほどと、かなり拮抗しています。*2
もちろん、英語のレベル・ビジネスの背景知識で多少課題のある講師の方もいますが、
・合わないな、と思ったらすぐにレッスンを終了して次に移れる
・ビジネスの場面でも全員が完璧な英語をしゃべるわけではない
ことからオンライン英会話の中であればNativecampがイチオシです。
3. レッスンでは身につかない実践的な英会話力
いくらオンライン英会話が優れていても「素振り」と「試合」では大きく差があるでしょう。
オンライン英会話で基礎を固め、フォームを維持しつつ、練習試合、もしくは試合で経験を積んでいくことが必要です。
ビジネスの環境に先生と生徒の関係性はない
オンライン英会話で慣れないうちは話すことに緊張し、どうしても「教えてもらう人」というポジションを自分で作ってしまいがちです。
もし「ビジネス英会話」のような教材を選択した場合は余計に、そのポジションの違いを強調したレッスンの内容になるでしょう。
しかし英会話教室以外では英語を生徒として話すことはありません。
・適切な言葉が見つからないときに流れる間
・発した文が意味を成していないときに返ってくる言葉
・聞き取れなかった時のフォローアップなど
レッスンでは講師や時間が解決してくれる問題も、放置せずに自分で処理をしなければなりません。
上記のような困難を技術的に解決できるようになるのはもちろんのことですが、脳が英語を話している時は「生徒である」と認識してしまっていると、その認識を書き換えるのに非常に時間がかかります。
アメリカのビジネススクールで行われた研究の中では肩書が自己肯定感や心理的安全性に与える影響について研究し、85%の従業員が肩書によってポジティブな効果を得られたことをまとめています。*3
この効果をうまく活用している例はアルバイトのスタッフの事を「キャスト」と呼んでいるディズニーランドでしょう。
自分はこの世界の「キャスト(演じ手)」なのだ、という理解は、一時的な責任しか負わないアルバイトよりもはるかに大きな視点と行動の変化をキャストにもたらしているはずです。
これとは逆に自分に「生徒」という肩書を与えてしまっていると、様々な成長の機会を抑圧してしまい、実際に現実世界で英語をしゃべるとなるとアガってしまって言葉が出てこない、といった状況に繋がってしまいがちです。
オンライン英会話上ではいち早く、「生徒と先生」という関係性を終わらせる必要がありますね。
(もちろん学習初期に「生徒」という肩書によって間違える勇気がつくのならば、それは活用すべきですが。)
伝えなければならない環境に追い込む
島国に生きる私たちはオンライン英会話が唯一の英語を話す機会になることが多く、伝えれなければ困る状況にありません。
オンライン英会話ではフレーズが見つからなくても先生が教えてくれるかもしれませんし、英会話をしながらググる、または話題を変える、という手もあります。
しかし現実世界では
・伝えなければ仕事が進まない
・目的地にたどり着けない
・食べたいものが食べれない など何か犠牲が発生します。
その状況を打破するための試行錯誤が、実践的な英語力を作っていきます。
以前 タイのクラスメートはとっさに「Improve」が出てこなかったようですが、「You know, higher and higher 」と手を斜めに向けて、上昇傾向であることを伝えていました。
こういった機転と度胸が「伝えなければいけない環境」を潜り抜けた数で身につきます。
究極は出川イングリッシュですが、さすがにビジネスの環境下では信用に欠けてしまうので基礎力(文法・単語)は大事ですね。
横から学ぶ:意外とみんな英語が堪能じゃない
私が学んでいるGLOBIS経営大学院では、Non-nativeの生徒でももちろん英語でコミュニケーションが取れますが、CERFでC2 (ネイティブと同等のスキルの話者)はほとんどいません。
実際のところC1(言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。)、B2(ある程度流暢に、自然に相手とやりとりができ、無理なくネイティブスピーカーと通常の対話ができる。)レベルの方が多い印象です。
だからこそ学べるのが、生きた便利フレーズです。
例えば
That was like "It's interesting" type of comment.
(何か中身がないような、聞いてなくても言えるようなコメントだったよね。)
という会話の流れで、クラスメイトの一人が言っていたフレーズです。
type of thing で覚えておけば様々な使い回しができますね。
ここで大事なのは「Nativeはそんな言い回しをしない」よりも「伝わる英語を話す」ことです。
ネイティブ話者は2割という状況を加味して、「-ish」というフレーズよりも他の話者が聞き取りやすく、理解しやすいフレーズで話すことが大事ですね。
もちろん、選ぶ学校によってクラスメイトの傾向も変わってきます。
おおまかなカテゴリわけはこちらを参照ください。
まとめ
ビジネス英語を伸ばす選択肢としてMBAを推薦する根拠
1. 失敗し自分の不足に気づくことができる
2. 同僚や取引先の能力レベルに近い、多様な国籍の方と話す機会がある
3. 実践でしか得られないメンタルと自分の会話パターンを作れる
いつか英語でビジネスをしたいと考えている方、
「英語でビジネスをするステップとしてのMBAという選択肢」という提案でした。
もちろん入学試験の突破や、授業で学びの質を低下させないよう、ある程度の英語力は身につけておく必要はあります。
しかし「新しいことを英語で学べるようになりたい」というターゲットを時間軸と共にを置くだけでも、英語学習を加速させてくれることは間違いありません。
入学後1番はじめに受けた授業でA評定 (クラスの上位10-15%)得ることができた経験も踏まえ、MBAを英語で学ぶ上でどのくらいの英語力が入学時点で必要になるのか、という記事も記載しておりますので参照ください。
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*1:英語学習の上級者でも句動詞の使用率が低いというデータもあります。第二言語として学ぶ私たちは句動詞は聞けばわかる、にFocusし、Vocabraryを増やした方が成長の曲線は早くなるでしょう。
*2:2024年1月時点
*3:https://www.businessinsider.com/why-you-should-choose-your-own-job-title-2014-11