英語学習でSMARTな目標設定はしてるつもりだけど、なかなか達成できない....目標設定が間違っているのかな...?
- 具体的な行動に繋がる目標設定の考え方
- 遅行指標と先行指標とは
- 遅行指標と先行指標の具体的な例
- 目標設定における先行/遅行指標の使い方
ネット上にはたくさんのSMARTフレームワークに基づいた、目標設定をより具体的に/齟齬なくする方法が紹介されています。
この記事ではそれよりもう一歩踏み込んだ、数字目標をより細かくBreakdownして、行動に繋がる 目標設定の方法という視点で記事を書いています。
英語学習を例に挙げていますが、目標設定に関しては何にでも応用が利きます。
全てを数字で管理する外資系製造サイトでKPI設定のコンサルティングをしていた経験を踏まえ、個人で使えるレベルに落とし込んで解説します。
手前味噌ですが、この方法を応用しTOEICでは220点(1問もわからないから)950点まで到達しました。
前提知識としてSMART フレームワークについて記載していますが、すでにご存じでしたら、先行/遅行指標の記事に飛んでください。
1. 前提となる知識:SMART 目標設定
SMARTは目標設定を具体化させるときに含めるべき要素の頭文字をつなげたものです。
Specific:具体的に
Measurable:測定可能な
Achievable:達成可能な
Related:目標に関連した
Time-bound:時間制約がある
成功する目標設定5つのポイント「SMARTの法則」とは?【フレームワーク解説/意味・具体的な使い方/ゴール設定】 | GLOBIS 知見録×学び放題
SMARTな目標設定の具体例:
英語の会議で何を言っているのか、理解できるようになる。
SMARTな目標設定を通して具体的にしてみると
(具体的 / 測定可能な / 達成可能な / 時間制約がある)
社内のミーティングでアクションアイテムが整理できるようになるくらいのListening力を付けるためにTOIEC L&R のListening を300点から400点まで2カ月間で上昇させる。
*「目標に関連した」は大きな目標が英語で仕事ができるようになる、と置いているとして省略。
2. 先行指標 と 遅行指標
この考え方は習わずとも自然と使われている方が多いと思いますが、暗黙知の形式知化に役に立つのでぜひ目を通してみてください。
2-1. 遅行指標(Lagging Indicator)とは
遅行指標とは過去の結果に対する指標です。
例えばTOEIC L&R の Listening 400点というのは現れる結果であって、テストの出題傾向や当日の体調など、複数の要素が絡まり合い、全てが自分のコントロール下ではありません。
2-2. 先行指標(Leading Indicator)とは
先行指標とは遅行指標の結果に対して因果関係があり、ポジティブな影響を与えるであろう指標です。
例えばTOEIC Listeningで400点を取るために、学習時間はインパクトを与える大きな要素であることは間違いなく、自身でコントロールすることができます。
よって400点到達への先行指標として、20hr/週の学習を置くことができます。
2-3. 先行/遅行指標の具体例 (別の視点から)
理解を深めるために、英語学習以外の例です。
a. 居酒屋での売り上げup
方向性:居酒屋の売り上げを客単価上昇により達成する
遅行:10万/週の上昇を達成する
先行1:アルコールのお代わりを1杯/人増やす
先行2:10人/日 「お代わりいかがですか?」と声掛けをする
b. ラムネ製造工場での収率向上
方向性:労働生産性を打錠工程の収率向上により達成する
遅行:収率を3月までに2%向上させる
先行1:ロット開始の条件設定で粉末消費量を800g以下にする
先行2:条件設定でのサンプリング回数を2回以下で完了させる
c. ブログでの収益向上の場合
方向性:Googleアドセンスによってブログを収益化する
遅行:6ヵ月で7000円の収益を得る
先行1:3万PV/月を達成する
先行2:1記事/日を書き続ける
2-4. 先行/遅行指標設定時のポイント
a. 成果に繋がるであろう指標を先行指標とする
因果関係を考慮し、「これをやれば成果に繋がるはず」というものを設定します。
仕事で設定する場合、データ分析を行い、相関関係を明らかにして実施しますが、個人で行う場合はネットでの記事を参考にしながら、PDCAを回すのがよいですね。
遅行指標(テストでX点、資格を取得する)を先行指標と切り分けて考え、遅行から2段は掘り下げて先行指標を設定し、自分がコントロールできる最小限の単位を日々実践していきましょう。
b. 先行/遅行指標は視点を変えれば変わってくる
英語学習の例で言うと、
「Listening 400点」から見ると「20hr/週の学習」は先行ですが、
「2hr/日の学習」から見ると「20hr/週の学習」が遅行になります。
大事なのは、上位の指標の結果を元に、下位の指標を調整していくPDCAサイクルです。
3. 行動に繋がる数値目標設定の手順
1. 達成したい姿を明確にする
2. 先行指標となる数値を設定
3. 日々実践していく
3-1. 達成したい姿を明確にする
例えば英語で仕事ができるようになる、であれば、以下の構成要素が考えられます。
・Reading:海外でサイトから情報収集できるようになりたい
・Listening:会議で何を言っているかは理解したい
・Speaking:プレゼンテーションでQ&Aに答えたい
・Writing:Email で返事をできるようになりたい
大きな目標を方向性に置き換えるポイント
目標を構成している要素を因数分解し*1、今はどれが大事なのかを考慮した上でFocusするエリアを決めましょう。
大きな目標を分解して方向付ける方法
英語であれば、
・受容(Receptive)スキルと言われる Listening とReading
・生産(Productive)スキルと言われるSpeakingとWriting で構成されています。
大事なのは文法・単語は4スキルの下地となり、PhonicsはListeningとSpeakingの基礎スキルとなる、といったように階層構造を理解することです。
小売業で売り上げであれば、
大きな公式は人数 X 一人当たりの単価 になります。
これらの分解の思考力を方法を鍛えるには
・フレームワークに出会う度にノートにメモとる
・考える際にロジックツリーを書いて分解する
などがあります。
普段から分解する癖をつけておくと、論理的思考力の向上にもつながります。
3-2. 先行指標となる数値を設定
具体的な遅行/先行指標となる数値目標(Listening 400点、20hr/週など)を決めるときには、ネットで参考情報を得てから設定していきましょう。
TOEICリスニング400点はどれくらいのレベルかというと、「洋画の専門的な単語ではない日常会話のシーンの英語のだいたいは一回で聞き取れる英語上級者」くらいです。*2
TOEICリスニングで400点はどれくらいのレベル?勉強法も解説 | Tetsu Language School
勉強時間とスコアの関係は以下の調査結果があります。*3
例:現状スコアが550点の場合
・550点→650点(+100点):225時間
・550点→750点(+200点):450時間
・550点→850点(+300点):725時間 *4
*私もおおよそこの表の進捗に当てはまりました。
先行指標の数値設定のためのコツ
ストレッチすぎない目標にする
勉強の習慣がゼロなのにいきなり「2hr/日 勉強する」と目標を立てても、守れなくなる可能性が非常に高いです。
ただしゴールから逆算するとストレッチせざるを得ないという方も多いと思います。
人はやりたいと思った時に、やりたい方法でやる時、最大の力を発揮する
英語はいつか必ず必要になってきます。
焦る前に今からコツコツ始めていくことをおすすめします。
3-3. 日々実践していく
あとは先ほどの先行指標の一番下のTargetを元に日々実践していきます。
ここの実践に悩みを持つ人は習慣化の方法(執筆予定)の記事を参照ください。
先行指標を設定する上での注意点
先行指標は確実に成果に繋がることを保証していない
20hr/週、ただpodcastを流聞きしてもListening で400点取れる保証はないですよね。
成果を出すためには具体的に組み立てられた質の高いアクションが重要な要素を占めます。
こちらに関しては設定したTarget毎に性質が大きく変わってきますので、英語学習については 社会人のための英語学習(執筆予定)の記事を参照ください。
レビューサイクル
先行遅行指標をうまく使うには上位の指標を定期的にレビューし先行指標を見直していくことが必要です。
あくまでも先行指標は成果に繋がる要因なので、それが正しいことを成果で確認し、PDCAを回す必要があります。
例えば20hr/週の学習が達成できていない場合は、2hr/日の学習の遵守状況を振り返り、遵守できなかった取り除いていくなど。
個人単位で実践する場合、週単位のコミットメントを譲れないものとし日単位のコミットメントは最低限の時間とすると継続しやすいです。
まとめ
- 具体的な行動に繋がる目標設定の考え方
→SMARTな目標設定に遅行指標と先行指標の考え方を組み合わせる
- 遅行指標と先行指標とは
遅行指標:過去の結果に対する指標
先行指標:結果に対してポジティブな影響を与えるであろう指標
- 目標設定における先行/遅行指標の使い方
→ 遅行指標(結果)から2段階は掘下げ、自分が制御できる先行指標を立てて行動を管理していく
SMARTにゴールを設定した際もう二段掘り下げてみて、毎日の生活で管理すべきはどのレベルの目標になるのかを考えてみましょう。
この考え方は実際に外資系製造サイトで使われている考え方であり、英語学習だけでなく、業務を管理する際にも使えます。
先行指標を掘り下げていくのは思ったより難しいので、定期的に成果をレビューし、先行指標に対するPCDAサイクルを回すことを忘れないようにしましょう。
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ブログ内参考記事:
英語でMBAを受けたいけど、レベル感ってどうなんだろう...?
*1:MECE(ミーシー)は論理的思考法の基本!フレームワークを徹底解説! | HR大学
*2:個人的にはこれはListening 満点のレベルだと思いますが。
*3:Oxford University Press『A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success』P.6