MBAってよく聞くけどそもそも何なんだろう....?他の資格とはどう違うの?
国内MBAは意味がないって言われたけど、そうなのかな...。実際に行っている人にも話を聞いてみたいな。
1. MBAとはどんなプログラムなのか
→ 経営に関する知識を体系的に学べる +
2. 何を学ぶことができるのか
→経営に関するヒト・モノ・カネとビジネスに必要な共通スキル
3. どんな人がいるのか
→ウルトラスペックリーマンより、一般的なサラリーマンの方が多い
4. 国内MBAに意味はない という主張に対する見解
5. 国内MBAに行くことで得られるもの
→ネットワーク / ビジネスに関する知識と実践力
経営学修士 / 学びの習慣 / 自分の本当にやりたいこと
私も自分で調べるまで、大学にも行っていない一般的なサラリーマンには縁のない、海外のエリートがとる資格のようなものだと思っていました。
実際に通ってみるとビジネスモンスターばかりではなく、どの会社にもいるようなサラリーマンの方もたくさんいます。
またMBAについて情報を集めていくうちに「MBAには意味がない」という情報も見かけることはないでしょうか?
さまざまな主張にはその主張をしている人の前提があり、その上に伝えたいことが乗っています。
今回はその主張の前提も考慮した上で、このブログのメインのターゲットである社会に出てから学び始める人*1にとって「国内MBAで学ぶことに意味があるのか」に対する見解を記載していきます。
- MBAとは:経営に関する知識を体系的に学び、実践する力をつけるための教育機関
- MBAとは:まとめ
- 国内MBAに意味はないのか?
- 国内MBAで得られるもの:まとめ
- (ちなみに...)体験してMBA受講中の人に聞いてみるのが一番効果的
MBAとは:経営に関する知識を体系的に学び、実践する力をつけるための教育機関
1. 一般的にMBAとは何なのか?
経営学修士(けいえいがくしゅうし、Master of Business Administration、MBA)は、経営学を修めたものに対して授与されることのある学位である。
MBA = Master of Business Administration で日本語で「経営学の修士課程(大学院)」を意味します。
注意点は中小企業診断士のような資格ではなく、学位だということですね。
ちなみに4年生の大学でも経営管理を教えているところがあり、そちらを卒業するとBBA(Bachelor of Business Administration : 経営学士)なります。
学士、修士ってなんだっけ...?
大学に行っていない私には学士/修士の違いも「...?」だったのですが、一応ざっくりとおさらいです。
学士(Bachelor) = 4年制の大学を卒業した時に与えられる学位*2
修士(Master) = 大学の後の大学院(通常2年ほど)を卒業した時に与えられる学位*3
つまり、MBAを取得するということは大学院卒と同等の学歴になる、ということですね。
学士を持っていなくても大学院には挑戦できるので、詳しくは以下記事を参照ください。
2. MBAではどんなことが学べるのか?
国内で最も歴史あるといわれる慶応大学のMBAプログラム (KBS)によると、
体系的な知識と実践力を身につけ、将来の経営を担うビジネスリーダーを育成するプログラム *4
との記載があります。
経営に関する知識を体系的に学べる + それを実践できる力を身につけれる教育機関、ということですね。
もうすこし具体的にとらえるためにGLOBISの説明を拝借します。
MBAで学ぶカリキュラムは主に「ヒト・モノ・カネ」の3領域で構成され、組織行動・リーダーシップ・人材マネジメントやマーケティング・経営戦略、アカウンティング・ファイナンスなどの科目を中心に構成されています。*5
どうやらこの経営に関する知識というものは、ヒト・モノ・カネというフレームワークによって分解することができるようですね。
この記事ではこのフレームワークに従い、学びの内容を整理してみます。
2-1. ヒト(人的資源管理/リーダーシップ/組織)
経営において人(従業員・仲間)は重要な資源です。
ビジネスにおけるリーダーとして、人的資源を有効に活用できる能力は必要不可欠です。
組織を効果的に動かす、「リーダーシップ論」、「組織行動論」、「モチベーションやチームダイナミクス」に関する分野、
人事管理においては、採用・教育・報酬・評価のすべての「人事管理に関するライフサイクルの知識」を学びます。
2-2. モノ (経営戦略/マーケティング/)
リーダーにはどちらに進むのか、方向性(戦略)を示す、ということも能力として求められます。
社内だけではなく、大きな経済全体の動きを見て、自社がとるべき戦略を組み立てる「経営戦略」と、生み出した価値どう顧客に届けるか、という「マーケティング」が取り扱われます。
2-3. カネ (会計/ファイナンス)
企業としての責務は大きく二つ、「社会的な価値実現」と「経済的な価値向上」と言われています。*6
「社会的な価値実現」は、例えば日清であれば、カップヌードルを通して世界の人にお湯だけで簡単に食べれるおいしいものを届けることによるQuality of Life の向上かもしれません。
しかし、慈善事業ではないので、そろばんが合わないと活動を継続することができません。
簿記のように収支をすべて管理するわけではありませんが、経営にかかわる判断をする際に金銭価値に換算して判断できる能力はリーダーとして必須のスキルになります。
2-4. 共通スキル (論理的思考/基礎IT/統計)
ビジネスマンとして業務を遂行する上で必須になるスキル、
・Logical Thinking (論理的思考力)、Critical Thinking(批判的思考力)といった思考力
・ファシリテーション・プレゼンテーション
・コミュニケーションスキル
なんかも学校によっては科目として用意しています。
ただしこれらのスキルはすべての科目を学び得ていくうえでの基礎的なスキルになるので、ヒト・モノ・カネの学びを通して習得していく、と位置付けている学校もあります。
3. どんな人がいるのか?
普通の会社員の私でも行って大丈夫...?
MBAと一言でいってもバラエティに富んでいますが、一般的な会社員もたくさんいます。
注意点ですがMBAのコースの中に
があります。*7
この二つを明確に分けていない学校も多いのですが、EMBAの場合は年齢層や職位が確実に高くなってきます。
コースを選ぶ際にはご注意ください。
超出世コースやウルトラハイスペックなサラリーマンはほぼいなく、
普通に仕事を楽しんでいる方が、もっと成長したい!という思いでこられているが7割くらいを占めるかと思います。*8
多様性(Diversity)の重要性が説かれる世の中です。様々な経験を持つ人が意見をぶつけることで学びが深まるので、強い意志があれば誰でも行って大丈夫だと思います。
能力的にアウトだったら入学させてくれないですしね。
MBAとは:まとめ
1. 経営に関する知識を体系的に学び、実践する力をつけるための教育機関
2. 経営に関するヒト・モノ・カネとビジネスに必要な共通スキルを学べる
3. ウルトラスペックリーマンより、一般的なサラリーマンの方が多い
ちなみに本来MBAとは…みたいなちょっと哲学チックなところに立ち戻ると議論は尽きません。
日本のMBAと海外のMBA、選択のポイントとは?によると「文科省はMBAを定義しておらず、日本では学位名称の氾濫が起こっている。」と警鐘を鳴らしています。
やっぱり国内MBAには意味がないのかな...。
国内MBAに意味はないのか?
結論: サラリーマンのスキルアップには大いに役に立つ
以降は、
・国内MBAに意味がないという主張
・それに対する私の見解
及びそれに含まれていない、
・MBAをとることで得られるメリット
を述べることで、国内MBAで得られるものについて記載していきます。
最終的にそれらのメリットに意味を感じれば、行く意味はあるはずです。
4. 国内MBAに意味がないという主張とそれに対する見解
ネット上で見る国内mbaに意味がないという主張を以下にList up してみました。
1. ネットワークが十分に作れない
2. 大したことは学べない
3. 教育の質が低い
4. 卒業生が成果を出していない
5. 投資対リターンが不明確or低い
主に参考にしたのは 日本のMBAってマジ意味ない【ひろゆき/切り抜き/論破】 - YouTube その他さまざまなサイト...
まずはネットワークの課題について整理してみましょう。
4-1. ネットワークが充分につくれない
この主張は多くの場合、MBAに行くような人は国際環境で活躍する人というのが前提に乗っているようです。
MBAと一言で言ってもそこにいる人はバラエティに富んでいます。
もし世界中でビジネスをしたいのであればハーバードやスタンフォードに行って世界の超一流とつながることは非常に大事だと思いますが、国内で仕事することを想定されている方にとっては、国内のビジネスマンとネットワークが作れる国内MBAに非常に意味があります。*9
見解: 国内のビジネスマンとネットワークを作りたいのなら国内MBAに行くべき
4-2. 大したことは学べない
これはこの主張が正しく、大したことは学べません。
MBAで学ぶようなことは教科書を読めば理解できるレベルのものが多く、知識という面では独学でも身に着けれます。
しかし知っているとできるの間には大きなギャップがあります。
特にビジネスの環境は日々、またその状況ごとに変わっていくため、知識を応用し、「実践できる能力を身につける」ことが重要ではないでしょうか?
これは生産性改善の仕事をしていて感じたことですか、魔法のようにすべてを解決するものはなく、おおよそのものは基礎愚直にやり続けた結果、少しずつよくなっていく。
それを傍から離れて見るとゼロから100の地点に飛んでいったように見えるだけだと思っています。
見解: 知識の面では大したことは学べないが、実践する力が身につけば大いに大したことである
4-3. 教育の質が低い
これはケースメソッドを前提にした場合、学校側の問題というよりは、生徒側の問題になるかと思います。
例えば私が行っているグロービス経営大学院ではケースメソッドの題材はハーバード大学と同じものが使用されています。*10
もちろん講師の方が非常に質の高い質問をすることでより高いレベルに生徒引き上げるということもあると思いますが、それよりも生徒が真剣に取り組むということがこの教育の質を向上させる一番の要素ではないしょうか。
見解: 学ぶ教材は世界中で大差はなく、クラスメイトおよび生徒の取り組みで質は変わる
4-4. 卒業生が成果を出していない
これは一部のあまり真面目ではない生徒により悪評が立っているという点も実際はあると思います。
ただし皆さんが検討されている大学院に世界的大企業のCEOになったような人はいないかもしれませんが、在学中にベンチャーを立ち上げて日本を変えていってやろう、と動き出している、なんて方はいるんではないでしょうか?
MBAに行かずに成功している人もたくさんいますし、MBAに行った人が必ず全員成功しているわけではありません。
MBAは成功が約束された切符だと思わない方がいいです。
見解: 悪目立ちする卒業生もいるが、際立った成果を出している人はどの大学にもいる
4-5. 投資対リターンが不明確or低い
ここで言う投資は教育費とMBAにかける時間を金額換算したものと、MBAで得た能力および学位による生涯賃金のアップを比較したものだと捉えます。
「MBAってどのぐらいお金が必要なの」(執筆予定)の記事でも細かく述べますが、だいたい手持ちからの出費は200万円前後くらい(1年間あたり100万以下)になります。*11
時間に関しては一概に述べる難しいのですが、1,200 - 1,800 hr (total)くらいとおいておきます。
国内外のMBA取得者234人を行われた調査では、MBA取得後の年収が300万上がった人は57.1%という結果もあります。*12
また学びを楽しむようなマインドセットを持っている方でしたら、MBAで学ぶことはお金を払ってでもしたいことだったりしませんでしょうか?
私の場合は半分趣味で勉強しているので時間に対するリターンはあまり考えてはいないですね。
このブログのターゲットの方々は、修士を持ってない方が大半かと思います。
その場合MBAにより最終学歴は大学院卒となり、転職による給与アップの可能性も大きくあがるでしょう。
見解: 学歴が低ければ低いほどリターンが投資を上回る率は高くなる*13
高卒社会人のMBAの可能性についてはこちらを参照ください。
5. 上記にかかれていないMBAで得られるメリット
5-1. 学歴コンプレックスの解消
初めてMBAの科目履修に行ってみて一番良かったのは
学位はラベルであって、能力とイコールではない、ということを体感することができたことです。
頭でわかっていたつもりでしたが、この経験を通して初めて飲み込むことができました。
5-2. 最終学歴の上書き
転職の間口を広げる
私も何度か転職活動をしましたが、高卒というだけで面接をさせてもらえない会社は、まだまだたくさんあります。*14
また面接させて貰えるところでも、すでに外資系大手で10年以上キャリアを積んでいる状況だと、給与は下がるオプションしかありませんでした。
院卒になると、求人上の要件のボーダーを一気に飛び越えれますね。
ビザ習得の加速
将来的に海外に仕事で移住(特にUS)を考えておられる場合は、最終学歴ごとにビザの発行の処理をされ、院卒ではない人は下手すると一年以上待たなければならなかったという話も聞きます。*15
5-3. 勉強する習慣が身につく
全く勉強する習慣が無い人がいきなりMBAに入るのはときついと思いますが、一人で勉強続けるよりは
・レポートなどの締め切りがある
・予習をしてない状況だと何も喋れない
そういった社会的プレッシャー、仲間からのプレッシャーがある中の方が習慣化しやすいと思います。
5-4. 将来したいことが見えてくるかも
様々なジャンルのクラスに参加、普段の生活では合わない違った業種/業界の人と仕事の話をする中で
・自分は何が好きなのか (WILL)
・何が得意なのか (CAN)
・社会は何を求めるているのか (NEED)
を知り、整理する機会が自然に現れるます。
在学中に転職する方も非常に多いですね。
国内MBAで得られるもの:まとめ
・ネットワーク
・経営に関する知識と実践力
・学びの習慣
・自分の本当にやりたいこと
ケースメソッドでの学びは自分が本気で取り組まなければ力にならないので、上記の得られるものは自動的に得られるものばかりではありません。
しかし年100万円と1日1-2hrの投資で得られるとしたらどうでしょう?
決して安くはないですが、長い目で見ると間違いなく意味があるはずです。
(ちなみに...)体験してMBA受講中の人に聞いてみるのが一番効果的
多くのMBAスクールは科目履修という形で1科目だけ体験できる機会を提供しています。
実際に科目履修して、クラスメイトにMBAってどんな感じ?と授業後に聞くのが一番てっとり早く情報の質も高いです。
MBAの体験方法については以下を、
MBAの選び方についてはこちらを参照ください。
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*1:社会に出てから学び始めるという意味を私は義務教育および高校、人によっては大学での教育を終えたが、その間勉強したという認識はなくただ時間を過ごしていた と捉えています。
*2:*一番国内で一般的な例で記載しています。例外については学士 - Wikipediaを参照ください。
*3:*一番国内で一般的な例で記載しています。例外については修士 - Wikipediaを参照ください。
*4:MBAプログラム | 学位プログラム | KBS 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 | 慶應義塾大学ビジネス・スクール
*5:MBAカリキュラム|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA
*6:"コーポレートガバナンスの実践 より拝借。
*7:Exectuive MBAとMBAの選択 (別Site)にて詳しく説明されています。
*8:超出世コースやウルトラハイスペックなサラリーマンはハーバードやスタンフォードなんかに行ってますね。
*9:日本という国がもうオワコンなので、国内でビジネスをするという前提が無理という考え方もあるかもしれません。私は日本が強く在り続ける可能性を高くしたいのでここに貢献したいです。
*10:よくケースメソッドを採用している学校では学べることは大して変わらないとよく言われますね
*11:こちらは学校によって大きく異なりますので興味ある大学を調べてみてください
*12:ポストMBAのキャリアに関するアンケート調査報告 | ニュースリリース | 会社情報 | ハイクラス・エグゼクティブ人材専門の転職・求人情報ならキャリアインキュベーション
*13:雇用される方を前提にしていますので自分で事業をしてバリバリ稼いでいる方は例外ですね。でも信用の向上になって資金の確保効率とかもかわってくるかもしれません?
*14:ちなみに私はこのフィルターに対してある程度サポートします。何百人何千人もの応募者がくる中、何かフィルターをかけたいのは至極当然のことであり、真剣に自分のキャリアを考えている方なら、経済的理由で大学に行けなかったとしても、その後学び続ける中で学士修士を取ることは可能だと考えます
*15:アメリカにとっても自分の国の利益になる人から処理したいのでしょうがないですよね。ちなみに、クラスメイトでビザ待ちでいつになるかわからないという理由から大学院mbaを取りに来ている方もいました